日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)
- 作者: 森下典子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/10/28
- メディア: 文庫
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おそらく4、50年ぶりに聞いた(読んだ)懐かしい言葉『滂沱の涙』。。。森下典子氏著【日日是好日】の大ファンでもあり、同文庫本を解説されている柳家小三治師匠の言葉である。
この手の言葉で、普段よく耳にするのは『号泣』。
しっかしまぁすっかり忘れていた懐かしい文学的匂いさえ感じられる言葉。。
号泣と云うよりも、この著書に対して実にふさわしい言葉なのだろう。
いよッ、さすが古典落語の師匠!っと声を上げたくなります。
さて、
映画をきっかけに、この本と出会うことが出来たのだが、
実に感慨深いものがある。
映画は、NHKスペシャル『樹木希林を生きる』を観たのがきっかけだったし、
そのNHKスペシャルを観たのも、樹木希林氏が帰らぬ人になったのがそもそものきっかけ。
言わば、樹木希林氏が教えてくれた本とも言えます。森下典子氏の著書は初めてでしたが、実に素敵な言葉がページの隅々に行き渡り、何処をきりとっても心に染み渡る言葉です。
また、お茶の師匠、武田先生と云うのが、実に素敵で 樹木希林氏と重なり合います。
先日、会社帰りの地下鉄の中、読みふけってるうち、次の箇所に出くわしてしまい、ひどく焦ってしまいました。何故なら、【ええ歳したオジン】が真っ赤に泣きながら本を読む。。。
傍目には、ど〜考えてもキショい話ですから。んで、横の席が空いたにも関わらずドアに向かって、立ち続けました。
その問題の箇所と云うのが
私はいつものように、席に入り、床の間の掛け軸に目をやった。
「・・・・・」
それは、見たことのない掛け軸だった。墨絵の達磨さんが、大きな目玉をギョロリとむいて、こっちを睨んでいる。(後略)
それで森下氏は、武田先生に掛け軸の由来を武田先生に尋ねます。すると先生は、
「あなたが明日、だいじな試験だから、そうだ、達磨さんに大きな目玉で睨んでもらおう、とおもったの。。。」
喉に、熱いものが詰まって、なんだか、うまく返事が出来なかった。(中略)掛け軸は、今の季節を表現する。けれど季節は、春夏秋冬だけではなかった。人生にも、季節があるのだった。
いやあ、この箇所、映画でも一番ぐっと来た場面です。
武田先生は、口でアレやコレや余計な言葉は言いません。けれど、掛け軸やら花瓶に活ける季節の花々、つくばいの水加減。。。
凛と佇む中にも、温かい心を見せる背中。。
武田先生すなわち樹木希林。。。
春夏秋冬 一期一会
それらすべてが頭の中を行ったり来たり駆けめぐります。
いやはや2018年この本との出逢いに感謝して。。。
ではまた。