芥川賞には一応の関心があるものの、
いわゆる文芸作品と云うものは、苦手だ。
文芸誌を時おり買っては読んでみるが、いまいち小説の世界に入り込むことが出来ない。
文芸作品が苦手な理由を、自分なりに、あれこれ考えてみた。
先ず、ストーリー展開より、主人公らの心の動きに重きを得た作品が多く、
『え、いったい何が言いたいんだコレ』
或いは
『で、この先どうなるの結局』
ってな具合で、ついつい敬遠してしまう。
どちらかと云えば、単細胞で短気な自分。
従って、
年に二回ほど行われる芥川賞授与式のニュースも、
「ほ〜う、今年もそう云う季節か」てな軽い関心で観る程度。
でも一応は、読書好き人間。
本は好きだが、文芸作品は苦手。
ゆえに、芥川賞を取った小説家の名前なんて5、6人ほどしか挙げられないのだ。
で、田中慎弥!
なんと言っても、名前と云うか、彼の存在を知ったのは 例の
【芥川賞授与式でのコメント】
正確に云えば、
あのコメントだけを、おもしろ可笑しく、取り上げるニュース番組だったかワイドショ ーだったか、そのどちらかで知った。
要するにその程度の関心だったので
名前を知ったものの、肝心の作品まで読んでみたいとは、その時点では思わなかったのが正直なところ。
ところが、
それから約一年後、いつも見る『情熱大陸!』
芥川賞受賞。。。と云うより、コメントぶりで小生の胸をわしづかみにした、あの田中氏の密着取材とのコト。こりゃぜひとも観なくっちゃあ!
と観たのである。
彼の生い立ちやら、受賞式後のドタバタぶりやら、苦悩しながらの執筆中姿。
パソコンどころか、携帯電話すら持たない日常やら、文芸誌編集者とのやりとり姿。おそらく演出のエの字も無い、凄ドキュメントだった。
《紙とちびた鉛筆。数文字書いては消しゴム。
ニ、三行を埋めるだけで丸一日を費やすコトもある。
もし彼が小説家にならなければ、どんな人生を送ったのだろう》
確かそのような、ナレーションが未だに耳にこびりついてます。
受賞式以上の、強烈なインパクトが胸に刺さり
是非とも 作品を読んでみたい!!
って思った瞬間でもありました。
んで
先ず手始めに、芥川賞作品 『共喰い』
正直、一読目の感想は
何やらわからないうち、終わったなぁー。
え、でも 気づけば最後まで読み通したやん。
てな具合で、二度目 三度目。。。
実はと申しますと、芥川賞作品を最後まで読んだのは、共喰いが初めてだったのです。
たいがいは、冒頭の部分だけで挫折。読む気が失せ、比較的短編でありながらも、最後まで読み通すなど、自分の頭では無理だったのです。
が、初めて読み通した 共喰い。
一読目 この先どーなる?っとついつい読み通し、
で 結末は いまいちわからない。
で二読目 ここでようやく、主人公や登場人物らの心の動きとかを知り
ほ〜 そう云うことか、
で三読目
ここで、一読目や二読目で気づかなかった【新たな発見】とやらに気づく。
短編でありながら、凄!
これが文芸作品と云うものだったんだ。
と、ようやく文芸作品の読み方、味わい方、愉しみ方に目覚めた小生、
ならばと、田中慎弥 小説家となった原点とも云うべく『冷たい水の羊』
これも 是非とも読んでみたい!!
っと、書店めぐりをスタートしたのであった。
思えば 六年前の、春には遠い二月頃であった。
つづく