しっかしまぁ。。。
その一言を発したきり、旧家の主人は黙り込んでしまった。
法事を控え数年ぶりに集まった親戚一同、その数、20人は居ただろうか。
え?一体何ごとですの。
まわりの人々は 次の言葉を今か今かと待ちわびた。しかし
数十分もの間、主人は沈黙を保ったまま微動だにしない。
んで間もなくお寺さんも、来られるっちゅうに何を黙ってますの?
とうとう見かねた主人の従兄弟が口を開いた。親戚一同で一番の長老者だ。
果てさて、何ら説明したものか。
ようやく沈黙の主人は立ち上がった。
そのまま台所まで歩みを進め、冷蔵庫の扉を開け、ひとつの貝をつまみ上げ言った。
『あとで鍋させる予定やが、なんか臭うねんこれ、大丈夫やろか』
…………貝つまんで、主人は言ったのであった。